どうにもならない苦手
前回も書いたけど、朝の時間Eテレをみることが日課になっている。
9時に家を出る。とはいってもぴったりに出られたことはほぼなくて、いつも10分くらい過ぎてしまう。今のところ遅刻はしてません。
毎週水曜日だったか、9時過ぎにやっている「u&i」という番組がある。
簡単に言えば子どもの人間関係に関する悩みを解決する番組だ。ほとんどの場合、「あいちゃん(あいくん)」が、学校のクラスメイト「ゆーちゃん(ゆーくん)」の困った言動に対して悩んでいる。あいちゃんとゆーくんは決まった子どもではなく、色んなあいちゃんとゆーくんが出てくる。
そしてあいちゃんにこころの電話で話を聞くと、困った言動には悪気がなく、理由があることがわかるのだ。
たとえば、「文字はわかるけど、まとまった文章が読めない」「光がとてもまぶしく見えてしまう」「いろんな動作が同時にできない」など。
近頃知られるようになった発達障害とか、視覚過敏とかが多い印象。他にも国の違いとか色々出てくるんだけど、やはりテレビ番組でとりあげるのは珍しい部分だなと感じる。
こんな番組、わたしが子どものときにやってたかな。仮にやってたとしても子どものときには何も感じられないかもしれないけど。
上にあげたような、社会では必ずしも「障害」とは認められないような部分を、この番組では「頑張ってもどうにもならない苦手」と呼んでいた。
この言葉、ほしい人がたくさんいるんじゃないかなと思った。わたしもその一人だ。
苦手は努力して、克服するべきもの。
そういう風に教えられてきたし思ってきたので、この言葉を聞いたときは救われた思いがした。
わたしが苦手とするのは、笑顔だ。
もともと口角が下がっているし、何より容姿が醜いという自認のせいで笑顔をつくることがとても苦手。
長い間勤めていた接客業の店舗では、毎月覆面の調査員が訪れ店員の笑顔やあいさつ、接客態度を採点していた。
そのため毎日毎日笑顔の練習をさせられ、できていないと注意される。
自分でもわかっていたし、そのときはできるようにしたいという気持ちがあったので毎日努力をしていたつもりだ。鏡の前で口角をあげ、頭には常に「口角」「笑顔」の単語が巡っていた。
しかし、努力したつもりでも結局わたしの笑顔は及第点に至らなかった。
できないことがとても情けなかったし、でもむりやり笑顔をつくるのは本当にストレスだった。元々口角が上がっている顔の人間を心の中で呪った。
接客業から離れた今、笑顔を無理につくることはほぼない。
上司や同僚を相手に愛想笑いをすることはあるけど、少なくとも見ず知らずの「お客様」ではない。
「口角」「笑顔」から開放されたいまは、これが自分にとっては「頑張ってもどうにもならない苦手」なのかなと思うことで少し心が軽くなった気がする。
そして、「結果が出ない=頑張っていない」という言説には思いっきりノーを突きつけたい。あのとき、頑張ってたでしょ。って、少しでも自分を認めてあげたいと思います。