25才という年齢に立ったとき、これからの人生設計について考えることは割と普通のことだろう。
就職活動をしていたとき、色々な人たちの話を聞いた。
中でも一番わたしの指針となったのは、「プライベートと仕事どちらに重きを置くか」というアドバイスだった。
わたしは考えて、すぐに結論を出した。
仕事に重きを置く。これからは仕事を生活の一部にして生きていく。
理由は簡単で、わたしには仕事よりも優先したいようなプライベートがないのだった。
趣味もなく、人間関係も職場の人たちだけ。
それに、当時働くことは好きだった。
周りの人に仕事ができる人間だと思われることで、安心してその場に身を置くことができた。承認欲求を満たしてくれていたのは何より仕事だった。
そして、こう考えているわたしにはパン屋はぴったりだと思った。
パン屋は実家から通える距離ではなかったので一人暮らしをはじめた。
実家に嫌気が差していたので、一人暮らしは楽しみでしかなかった。
物件決め、引っ越しの際には家族や数少ない友人に協力してもらって、改めて周りの人間に感謝した。
卑屈から抜け出して新しい生活への一歩を踏み出せたことが嬉しかった。
わたし今普通の人間っぽくない?ってしばしば思った。
引っ越した先は都心から離れた田舎で、スーパーくらいしかなかったけど、海がすぐ近くで、何だかそれがすごくいいと思った。
職歴なし25才喪女は、海の見える街をBGMにこれからの人生に希望をはせていた。
起承転結の、承はこんなところです。
多分起承転結の中でも一番短いと思う。 だって、自分でも引くほどすぐに転がきてしまったから。
続きます。