どうだ暗くなつたろう

twitterじゃ冗長すぎることとか書いても仕方ないけど書きたいことを書きます

あなたの脳みそ見せてください

活字が読めなくなってもうずいぶん経った。

高校生くらいまでは本を読むことがとても好きだった。年をとるごとに段々とエネルギーがなくなっていき、今はもうほぼ本を読まない。最近読むのは漫画、雑誌のほかに短歌の本くらいだ。

だけどここ最近、エッセイやブログなんかを読むのはとても好き。

読書をしていた頃はもっぱら小説を読んでいて、逆にエッセイになんの興味もなかったから不思議だ。

大きなきっかけは多分、休職中に図書館で読んだ穂村弘のエッセイだと思う。短歌の人、というイメージだけでなんとなく読んだ穂村弘のエッセイにはかなり救われる思いをした。

世界、社会、他人、自分に対する違和感とか小さくてぼんやりした、でも確かに存在する「変な感じ」をすごくぴったりと言語化してくれていたからだ。ある種の気持ち良さすらあったと思う。

あとは単純に、軽い文章が多いので読みやすいです。

 

この間、銀座でやっているzineのイベントに行ってきた。

zineとは?ってなる人は検索してほしい、まあわたしもよく知らんけど…平たく言えばおしゃれな人たちがつくる同人誌みたいなやつ。(だと思っています)

友人に誘われるがまま特に下調べもせず行ったけど、素人(だと思われる)がいたりプロの写真家やデザイナーがいたり、ジャンルも写真から文章から形容できなさそうなもの、海外の人もいたりと多様でびっくりした。

写真も絵も文もとりわけ好みがないわたしはとりあえず、これは文化人たちのおしゃれなコミケかなという感想を抱いた。

強いていえば装丁やフォント、紙とかが本当に色々で表紙を眺めるだけでもおもしろかったな。オタクの同人誌ってある程度セオリーが決まっているイメージだけど、それよりも自由な感じ。コストがすごそうだったけど。

何周かウロウロして、結局よくわからなかったので、友達のzineと、もう一冊、同じブースにあった全く知らない人の日記みたいなzineをなんとなく買った。

 

知らない人の日記はおもしろかった。

特におもしろい出来事が起きるわけでもなく、その人の仕事の話とか友人の話とか、わからないから想像する部分も多い。

たとえば有名人の日記を読んでも多分こんなにおもしろくなかったかもしれない。

何者でもないような人(その人について調べてないけど、もしどこかで有名な人だったらごめんなさい)の身に起こった取り留めのない出来事や考えとか、これ以外に知る術ってないんじゃない?と思った。

そして同時に、わたしはそれが知りたいんだなと気づく。わたしは道行く他人の考えていることが、その人の思想が知りたい。

知って共感をしたり、あるいはその人についての理解を深めたい。

 

抑うつと診断されたときには特にいろんなブログやSNSの文章を読んだ。

どうしたらいいか、とかアドバイスがほしかったわけではなく、その人たちの気持ちが知りたかった。さまざまな状況のなか精神を患った人たちと自分の比較・検討をすることで安心した部分もあったしその逆もあったと思う。

 

人に話すほどでもないとか、話したらちょっと変な人に思われるとか、そもそも自分の中でうまく言語化できていないようなことがエッセイやブログには書かれていて膝を打つことが多い。

とりわけブログやzineで読む、所謂「プロ」ではない人が書く、「商品」ではない文章は、その人の脳みそを覗き見ているような感じがする。いいのかな、でも読みたいと思ってしまう。

 

その人の脳みそを覗く、というならTwitterなんてまさにじゃないかなあと思う。

本当になんでもないつぶやき、ぼやきとかひとりごとが読める。そういうのをずっと読んでいたくなる。落ち着く。

あなたの脳みそ、見せてください。

あなたのランチ、見せてください。みたいに言ってみました。(昼めし旅っていう番組でよく言ってるやつ)