母との歴史
家族の話をすると変わってるねと言われることがまあまあある。(変わってない家族なんてある?見たことない)
家族は四人いて、母姉わたし弟。
小学生のときに両親が離婚して、片親になった。
母のことを文章に書こうと思ったことは一度や二度ではないが、結局いつもまとまらずに断念する。
母のことを聖人かなにかだと、子どもの頃は真剣に思っていた。
離婚する前の母は専業主婦で、買ったばかりのマイホームで家事と子育てに囲まれていた。子どものわたしから見たら、かわいいし、優しいし、ご飯が美味しい、何でも知っている自慢の母だった。
母の浮気で離婚が決まっても、その浮気相手を追って遠く離れた地へ引っ越しを決めたときも、それはなぜか揺るぎなかった。
今はそれが、わたしが子どもだったからだとわかる。
母は完璧ではない。母は勝手だ。
だけど、わたしにはいつも、母に対する申し訳なさがある。
離婚して、働きながら3人の子どもを育てた母。3人分の学費をほぼ一人で貯めた。
負い目がずっとある気がする。わたしは未だに母に文句一つ言えない。喧嘩もできない。母が機嫌の悪いとき、どれだけうるさくものに当たろうと、酔っぱらってウザ絡みしてこようと耐えることしかできない。
頭のなかでは、負い目など感じる必要はないのではないかとも思う。
子どもたちを引き取ると決めたのは母だし、母に育てられてわたしは「こうなった」のだ。だけどわたしももう大人だから、自分のことを親のせいにすることが世間では恥ずかしいことなのだと知っている。
恥ずかしい。情けない。誰に対してそう思うのだろう。
中学生のとき、母が彼氏を家に住まわせたことがある。所謂ヒモだ。
ヒモの話は長くなるので(ヒモだけに)ここには書かないでおくけど、簡単に言えばわたしはヒモに性的いたずらをされていた。突然キモい話で申し訳ない。
母は多分気づいたと思う。でも何も言わなかった。母と真剣な話をしたことなんてほとんどない。テレビの話とか、ねこの話しかできない。ずっとそうなのだ。
このことも、わたしは負い目に思っている。
なんでいきなりこれを書こうと思ったんだろう。多分、母の不機嫌にあてられて、わたしも母に仕返ししたくなった。
なんの仕返しにもならないけど。
仕返しがしたいのではない。本当は、なんで怒ってるの?って聞いたらちゃんと答えてほしい。謝っても無視しないでほしい。ものに当たらないでほしい。